死ぬ理由がないから生きてる。

低脳大学生のぼやき。

超超超短編小説 「夢中」

  テーブルにはチーズケーキを食べた皿がポツンと乗っている。

 

  落下しそうなほど端に追いやられた白いプラスチックの平坦な上、少しこびり付いたチーズクリームが寂しく乾涸びている。

 

  ジッパーが開けっ放しのペンケース。

  投げ置かれたシャープペンシルと消しゴム。

 

  そして茶封筒とビリビリに破かれた用紙。

  粉々になった白いピースには黒い文字たちが印刷されていることが伺える。

  目に止まる『不』と『採用』の文字。

 

  この手紙の宛先の主は眠っていた。

  漆黒の睫毛と病的に白い肌の女の子。

  読み途中の文庫本をベットの下に落下させ、静かに寝息を立てている。

 

  寝返りを打つ彼女の肌とシーツの擦れ合う音。

  その音がなんだか小気味良い。

  なんとなく彼女の頬に触れた。

  いつも通り冷たい彼女の頬。

 

  そっと彼女のベッドに潜り込む。

  自分の額を彼女の額に密着させる。

  優しくその冷たい体を抱きしめる。

  そして目を閉じる。

 

  彼女の夢の中に入り込めたらいいな、なんて思いながら。

 

  僕は彼女に夢中だから。

 

【完】